シャントとは血液透析を受けるために充分な血液を確保できるよう、動脈と静脈をつなぎ合わせた血管のことをいいます。動脈と静脈をつなぎ合わせることで、静脈に十分な血液が流れるようになり、針が刺しやすい太い血管となります。シャントの種類には自分の血管を使用した自己血管内シャントと、人工血管を使用した人工血管内シャントがあります。
シャントは血液透析を受ける患者さんにとって重要であり、「命綱」とも言われています。
1.狭窄、閉塞
シャント血管の内側が部分的に細くなることをシャントの狭窄といいます。狭窄を引き起こす原因のひとつとして、静脈に高い圧力がかかることが挙げられます。シャントでは動脈から静脈に速いスピードで血液が直接流れ込んでくるため、静脈にとっては大きなストレスとなります。このストレスに耐えようと血管の内側が分厚くなることが狭窄につながります。狭窄が進行すると透析効率の低下や、シャントに血液が流れなくなり閉塞となる可能性がありますので狭窄部分を広げてあげる治療が必要となります。
狭窄の治療はカテーテルで狭窄した部分を内側からバルーン(風船)で広げる経皮的血管形成術(PTA)が主ですが、改善しない場合には新しくシャントを作成する場合もあります。
病変の早期発見として、日頃からシャントの音や流れに変化がないか観察することが重要です。
2.感染
透析患者さんは週に3回もシャントへ穿刺するため細菌が体内に入りやすく、特に人工血管は自己血管のシャントに比べ感染しやすい環境にあります。感染した場合には抗生剤の投与を行いますが、全身に細菌が回らないようにシャントの手術が必要になる場合もあります。シャントの痛み、熱感、発赤、膿が出るなどの症状がある場合にはすぐに医療スタッフへ報告しましょう。感染を起こさないために、「シャントはいつも清潔にする。透析後の入浴を避ける。傷を作らないようにする。」などの対策をとりましょう。
病変の早期発見として、日頃からシャントの音や流れに変化がないか観察することが重要です。
1.シャントエコー
当院では透析患者さんの生命線であるシャントを適正に管理するため、シャントのエコー検査を行っています。エコー検査ではシャントの機能や形態を評価し、狭窄や閉塞などの発見と予防に努めています。また、穿刺が難しい患者さんにはエコーを活用し、血管の状態を確認しながら穿刺を行っています。
2.経皮的血管形成術(PTA)
シャント血管の一部が細くなる狭窄には血管の内側からバルーンカテーテル(風船)で広げる経皮的血管形成術(PTA)を行っています。シャント血管にシース(止血弁付きの短い管)を挿入し、病変までスムーズに誘導できるようガイドワイヤーを介してバルーンカテーテル(先端に風船のついた細い管)を進めていき、細い部分を拡張させます。